【プロの結論】Hisense U8N レビュー。RTINGS「8.4」が示す国産崩壊の現実と、75インチ購入者が陥る“最悪の罠”

「ハイセンス? ああ、安かろう悪かろうの中国メーカーでしょ?」

もしあなたがまだ、2015年頃の感覚でこう思っているなら、この記事を読み終える頃にはその認識が180度ひっくり返ることになります。そして同時に、「今までブランド料だけに数万円も多く払っていたのか」と、少し悔しい思いをするかもしれません。

2024年モデル、Hisense(ハイセンス) U8N

結論から言います。これは、もはや「ジェネリックREGZA」などというレベルではありません。ハードウェア(パネル性能)の純粋な殴り合いにおいて、同価格帯の国産テレビを完全に過去のものにする「モンスターマシン」です。

私が絶対的な信頼を置く世界最高峰の検証機関「RTINGS.com」が叩き出したスコアを見てください。

  • Mixed Usage(総合評価): 8.3
  • Home Theater(映画評価): 8.4
  • Gaming(ゲーム評価): 8.2

特に「映画 8.4」という数字。これは、SONYやPanasonicの同価格帯液晶モデル(X90Lなど)と同等か、項目によってはそれを上回るスコアです。

しかし、手放しで「全員におすすめ」とは言いません。
このテレビには、RTINGSのデータを見なければ気づけない「致命的な弱点」と、サイズ選びにおける「最悪の罠(75インチ問題)」が潜んでいるからです。

今日は、巷の提灯記事(メーカーにお金をもらって書く宣伝記事)では絶対に語られないU8Nの真実を、客観的データと共に「翻訳」します。私がランキングを書かない理由

▼お忙しい方へ:この記事の結論
  • 買いの条件: 65インチ以下で、正面から映画・ゲームに没頭したい人。輝度と黒の締まりはOLED(有機EL)級で、コスパは最強。
  • 回避すべき人: 家族みんなで広範囲からテレビを見る人(視野角が狭い)。
  • 絶対の注意点: 75インチを買ってはいけない。 パネルの種類が違い、コントラスト性能が激減する「別物」だから。
  • 賢い構成: 浮いた予算(国産との差額約10万円)で、高性能なサウンドバーを追加するのが「40代の正解」。
目次

RTINGSスコア「8.4」の衝撃。なぜU8Nは国産を凌駕するのか?

まず、私が判断基準とするRTINGS.comの評価を見てみましょう。特に注目すべきは、映画体験に直結する「Home Theater」スコアです。

Hisense U8N  TV Review

Hisense U8N  TV Review
  • Mixed Usage: 8.3
  • Home Theater: 8.4
  • Gaming: 8.2
  • Bright Room: 8.5

RTINGS.comの評価において、Home Theaterスコア 8.4 は、液晶テレビとしてトップクラスの数値です。特筆すべきは Brightness(輝度)の「9.2」Black Level(黒の締まり)の「8.9」

出典:RTINGS.com | Hisense U8N TV Review

この数字が何を意味するか、専門用語抜きで解説します。

1. 「有機ELキラー」と呼べる圧倒的な明るさとコントラスト

U8Nの最大の武器は、Mini LED量子ドット を組み合わせた圧倒的な「光の暴力」とも言える明るさと、それを制御するローカルディミング(部分的消灯)技術です。

RTINGSの測定データを見て私は思わず声を上げました。

▼ Contrast
▼ HDR Brightness

  • コントラスト比: 277,100 : 1(ローカルディミングON時)
  • ピーク輝度(HDR): 3,000 nits超え(10% Window)

出典:RTINGS.com | Hisense U8N TV Review

読者:3,600nitsって凄いの?ピンとこないんだけど。

3,600nitsって凄いの?ピンとこないんだけど。

ナオキ

一般的な有機ELテレビが800nits前後、最新の最高級モデルでも1500〜2000nits程度です。つまり、U8Nはその2倍〜3倍明るいんです。

これがどういう体験を生むかというと、「眩しい表現」が本当に眩しく感じられます。 太陽の光、爆発の閃光、魔法のエフェクト。これらが「白い絵」ではなく「光」として知覚できるレベルです。昼間の明るいリビングでも、画面への映り込みをねじ伏せるパワーがあります。

2. 暗闇もしっかり「黒い」

液晶テレビの弱点は「黒が白浮きする」ことですが、U8NはMini LEDを大量に敷き詰め、細かく消灯制御することで、有機ELに肉薄する黒を実現しています。RTINGSの「Black Uniformity(黒の均一性)」評価も高く、映画の夜のシーンで興醒めすることはありません。それでもMini LEDが有機ELに勝てない部分とは?

ゲーマー歓喜。RTINGS「Gaming 8.2」の正体

40代の私たちは、映画だけでなくPS5やXboxでゲームも楽しみますよね。U8Nはゲーミングモニターとしても優秀です。

  • 144Hz対応: PCゲーマーも納得の滑らかさ。
  • VRR(可変リフレッシュレート): ティアリング(画面のズレ)を防ぐ。
  • HDMI 2.1: 最新ゲーム機の性能をフルに発揮。

さらに、ハイセンスの設計で私が「分かってるな!」と膝を打ったのが、HDMIポートの仕様です。

神仕様:eARCが「HDMI 2.0」ポートにある

これ、地味ですがめちゃくちゃ重要です。

多くのテレビは、高帯域の「HDMI 2.1」ポート(4K/120Hz対応)を2つしか持っていません。そして最悪なことに、そのうちの1つを「eARC(サウンドバー接続用)」として使ってしまう機種が多いのです(例:SONYの一部のモデル)。
これだと、PS5とXbox Series Xの両方を持っている場合、どちらか片方を性能の低いポートに繋ぐか、いちいち抜き差ししなければなりません。eARCについて詳しく知る

しかし、U8N(65インチ以上)は違います。

U8NのHDMI 3と4が「HDMI 2.1(最大144Hz)」対応。そしてeARCポートはHDMI 1(HDMI 2.0)に割り当てられています。

つまり、サウンドバーをHDMI 1に繋いでも、2つの高速HDMI 2.1ポート(HDMI 3, 4)はゲーム機用に丸々空いているのです。

ナオキ

これはゲーマーの心を完全に理解した「神配置」です。配線で悩みたくない40代にとって、これだけで選ぶ理由になります。

【警告】これを許せる人だけ買ってください。U8Nの「2つの弱点」

ここまで褒めちぎってきましたが、ここからが「ナオキ」の本領発揮です。
RTINGSのデータは、メーカーが隠したがる不都合な真実も容赦なく暴きます。

弱点1:視野角が狭い(Viewing Angle: 6.1)

これがVAパネルを採用したU8Nの最大の弱点です。

▼ Viewing Angle

RTINGS.comのViewing Angleスコア(6.1)とグラフ(Color Washout starts at 23°)

出典:RTINGS.com | Hisense U8N TV Review

「23度」動くだけで、色が薄くなり始めます。
これはどういうことか?

  • OKな人: ソファの正面に座って一人、あるいは夫婦で並んで見る。
  • NGな人: キッチンから斜めにテレビを見たり、L字型ソファで横から見たりする家族がいる。

もし、リビングのあちこちからテレビを見たいなら、このテレビは買わないでください。画面が白っぽくなり、せっかくの画質が台無しになります。その場合は、視野角の広い有機ELか、ADSパネル(IPS系)のテレビを選ぶべきです。

弱点2:反射処理は「そこそこ」

RTINGSの評価では「Direct Reflections(直接反射)」の処理が、上位モデルとしてはやや弱いです。

画面は光沢(グレア)仕上げで、間接的な光はうまく抑え込みますが、照明や窓が直接映り込むと、その輪郭がくっきりと見えてしまいます。

ナオキ

映画を見る時はカーテンを閉めるか、照明を消す(あるいは調光する)ことを推奨します。

【最重要】75インチを買ってはいけない。「パネルの罠」

ここが本記事のハイライトです。もしあなたが「大画面がいいから75インチにしよう」と思っているなら、一旦ストップしてください。

RTINGSのレビューには、小さな文字で非常に恐ろしいことが書かれています。

The 75-inch model uses an ADS Pro panel, so it performs a bit differently than the other sizes, with worse contrast but a better viewing angle.
(訳:75インチモデルはADS Proパネルを使用しているため、他のサイズとは性能が異なります。コントラストは悪くなりますが、視野角は良くなります。)

つまり、こういうことです。

  • 55/65/85インチ: VAパネル採用。コントラスト最強、黒が締まる。 視野角は狭い。これが本来のU8Nの評価。
  • 75インチ: ADSパネル採用。コントラストは低い(黒が浮く)。 視野角は広い。もはや別のテレビ。

この記事で絶賛している「圧倒的なコントラスト」は、75インチモデルには当てはまりません。もし映画体験(黒の締まり)を重視してU8Nを選ぶなら、絶対に65インチ(または85インチ)を選んでください。 75インチを買うと、「あれ?思ったより黒がグレーっぽいな…」と後悔することになります。予算配分とサイズの賢い考え方

REGZA Z870N / SONY X90L と比較してどうなのか?

中身が良くても、やっぱり映像処理(アップスケーリング)は日本製が良いんじゃないの?地デジとか汚くない?

ナオキ

鋭いですね。その通りです。

RTINGSの「Upscaling」評価を見ると、U8Nは「Good(良い)」ですが、「低解像度のコンテンツの細部描写には少し甘さがある」とされています。

  • 地デジ・バラエティ番組重視: 正直、REGZAやSONYの最新エンジンのほうが、肌の質感やノイズ処理は一枚上手(うわて)です。
  • ネット動画(YouTube/Netflix)・ゲーム重視: U8Nの圧勝です。 元の画質が良い4Kコンテンツにおいては、パネルの基礎体力(輝度・コントラスト)が勝るU8Nの方が、映像のインパクトは上です。

「地デジを毎日何時間も見る」ならREGZAをおすすめします。REGZAとハイセンスの関係性
しかし、「週末に映画を没入して観たい」「ゲームの世界に入り込みたい」というシアター用途なら、価格が数万円〜十万円近く安いU8Nを選び、その差額で音響を強化するのが「賢い投資」です。

推奨設定:まずは「FILMMAKER MODE」へ

購入したら、まずは余計な画質補正を切りましょう。RTINGSの計測でも、最も制作者の意図に近い色は 「FILMMAKER MODE(フィルムメーカーモード)」 で記録されています。なぜフィルムメーカーモード一択なのか?

また、初期設定では「省エネ設定」などが悪さをして画面が暗くなることがあります。必ず「輝度センサー」などはオフにし、U8Nの持つパワーを解放してあげてください。

まとめ:65インチU8N+サウンドバーこそ「40代の勝利の方程式」

Hisense U8Nは、かつての「安かろう悪かろう」ではありません。RTINGSスコア「Home Theater 8.4」が証明するように、純粋な映像マシンとして世界トップクラスの性能を持っています。

結論、以下の条件に当てはまるなら、迷わず「買い」です。

  1. サイズは65インチ(または85インチ)。 75インチは避ける。
  2. 視聴スタイルは「正面」。 視野角の狭さは許容する。
  3. 地デジよりもVOD(映画・ドラマ)やゲームが中心。
  4. ブランド料にお金を払いたくない。 実利を取りたい。

浮いた予算で、ぜひDolby Atmos対応のサウンドバーを追加してください。映像が「8.4」点でも、テレビ内蔵スピーカーの音は「おまけ」レベルです。音を強化した瞬間、あなたのリビングは本当の意味で「映画館」を超えます。

それが、私たち40代が目指すべき「沼にハマらない賢い投資」です。

▼今回紹介した「最適解」

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