「Sonyの最新モデルだし、『シアターバー』って名前だから、これ一台で映画館みたいになるはずだ」
もしあなたが、BRAVIA Theatre Bar 6 (HT-B600) に対してそう期待しているなら、一度クレジットカードを財布に戻してください。
経験20年のプロとして、そして「失敗しない買い物」の案内人として、結論から申し上げます。
このサウンドバーは、「ホームシアター(映画体験)」を求めて買うと、高確率で後悔します。
なぜなら、世界で最も信頼できる検証機関「RTINGS.com」のデータが、残酷な事実を突きつけているからです。巷のランキングサイトが絶賛していても、数字は嘘をつきません。私がRTINGS.comのデータだけを信じる理由
しかし、もしあなたの目的が「映画の没入感」ではなく、「毎日のニュースやドラマの声をクリアに聞きたい」ことにあるなら……話は別です。
今回は、Sonyのエントリーモデルに隠された「罠」と「本当の価値」を、客観的データと共に丸裸にします。
- 映画派(シアター目的): 回避推奨。 RTINGS「Movies 7.0」はシアターバーとして落第点。サラウンド感はほぼ無く、ATMOSも効果薄。予算を足して「Bar 8」か、同価格帯の「Samsung Q800D」へ。
- テレビ派(ニュース・ドラマ): 検討の価値あり。 「Dialogue 7.9」は優秀。独立センタースピーカーのおかげで人の声は抜群に聞きやすい。
- 機能面: Wi-Fiなし、HDMI入力なし。拡張性は皆無。
結論:これは「簡易ホームシアター」ではなく、「超高性能なテレビスピーカー」です。
↓ ニュース・ドラマ専用機として割り切るならアリ ↓
衝撃のRTINGSスコア。「映画」で選ぶと失敗する理由
まずは、何も言わずにこの画像を見てください。これが、世界基準の「通知表」です。
▼ Sony BRAVIA Theater Bar 6 Soundbar Soundbar Review
- Mixed Usage (総合): 7.3
- Dialogue/TV Shows (会話/テレビ): 7.9
- Music (音楽): 7.1
- Movies (映画): 7.0
出典:RTINGS.com | Sony BRAVIA Theater Bar 6 Soundbar Soundbar Review
えっ……「Movies(映画)」のスコア、低くないですか? 最新機種ですよね?
ナオキその通り。7.0点というスコアは、Sonyの「Theatre」を冠する数万円クラスの製品としては、正直言って「厳しい」数字です。
なぜこれほど評価が低いのか。RTINGSの測定データが、その「犯人」を特定しています。
1. サラウンド感の欠如(3.1.2chの限界)
このサウンドバーは、左右とセンター、そしてサブウーファーという「3.1ch」構成に、天井反射用のスピーカーを加えた構成です。しかし、後ろから音が聞こえるリアスピーカーがありません。
「バーチャルサラウンド技術があるから大丈夫でしょ?」と思いましたか?
残念ながら、データは残酷です。
▼ Surround 5.1
The 5.1 surround performance is disappointing. It’s a 3.1.2 bar with no dedicated surround channels, so it has to downmix surround content to stereo. As a result, surround effects, like fighter jets zigzagging across the extremities of the sound field, don’t sound particularly wide or enveloping.
出典:RTINGS.com | Sony BRAVIA Theater Bar 6 Soundbar Soundbar Review



「5.1chサラウンド性能は期待外れ(4.3点)」とはっきり書かれています。戦闘機が飛び交うようなシーンでも、音は広がりを持たず、正面から平坦に聞こえるだけ。つまり、5.1chの映画信号を、ダウンミックスして再生しているのが実態です。これでは「没入感」など生まれるはずがありません。
2. 「なんちゃって」Dolby Atmos
さらに深刻なのが、今どきの映画で必須の「Dolby Atmos(立体音響)」の性能です。
▼ Height (Atmos)
Subjectively, we found that there was little to no perception of height or elevation. … much of the soundstage is confined to what’s directly in front of you.
出典:RTINGS.com | Sony BRAVIA Theater Bar 6 Soundbar Soundbar Review



「高さ方向の感覚はほとんど無い(little to no perception of height)」。これが現実です。天井から音が降ってくる体験を期待して買うと、完全に裏切られます。音が「目の前の狭い範囲」に閉じ込められてしまっているのです。
唯一の救い。「Dialogue 7.9」が示す本当のターゲット
ここまで酷評してきましたが、ではこの製品は「ゴミ」なのでしょうか?
いいえ、違います。「用途」さえ間違えなければ、優秀な製品に化けます。
その証拠が、「Dialogue/TV Shows(会話・テレビ番組)」のスコア「7.9」です。
声の聞き取りやすさは「本物」
映画のスコアがボロボロだった一方で、会話の明瞭度は非常に高い評価を得ています。これは、このクラスでは省略されがちな「独立したセンタースピーカー」をしっかり搭載しているからです。
▼ Center
The Sony Theater Bar 6’s center channel performance is great. It’s a discrete center tuned in a balanced way, allowing for detailed reproduction of vocals and speech.
出典:RTINGS.com | Sony BRAVIA Theater Bar 6 Soundbar Soundbar Review
センタースピーカーって大事なんですか?



めちゃくちゃ大事です。安いサウンドバーは左右のスピーカーだけで声を出すので、BGMと声が混ざって聞き取りにくい。でも、HT-B600は「声専用のスピーカー」が真ん中にある。
つまり、「最近、ニュースのアナウンサーの声が聞き取りづらい」「ドラマのセリフがモゴモゴして聞こえる」という悩みを持つ40代以上のテレビ視聴者にとっては、この製品は救世主になり得ます。
ガジェット好き40代を萎えさせる「スペックの欠落」
ただし、もしあなたがPS5などのゲーム機を持っていたり、Spotifyを高音質で流したいと考えているなら、もう一つ警告があります。
この機種、拡張性がバッサリ削られています。
1. HDMI入力端子がない
あるのはテレビと繋ぐ「eARC端子」だけ。ゲーム機やブルーレイレコーダーを直接サウンドバーに繋ぐことはできません。テレビ側の端子が足りない人には致命的です。
2. Wi-Fi非対応
これが一番痛い。Wi-Fiがないので、Spotify ConnectやAirPlayでスマホから高音質キャストができません。音楽はBluetooth接続のみ。いまどき数万円出してBluetoothだけというのは、正直コストカットが過ぎます。
それでもHT-B600を買っても良い「唯一の人」
ここまで厳しく評価してきましたが、この製品が「ゴミ」なのかと言うと、そうではありません。ターゲットが非常に狭いだけです。
以下の条件にすべて当てはまる人にとってのみ、HT-B600は「最高の相棒」になります。
- 映画のサラウンド感(後ろからの音)には全く興味がない。
- 主な用途は「地上波テレビ(ニュース、バラエティ、ドラマ)」だ。
- スマホでの音楽再生はBluetoothで十分だ。
- テレビの前に置けるスペースが限られているが、サブウーファーを置く場所はある。
- とにかくテレビの「人の声」を聞き取りやすくしたい。
特に、ご両親へのプレゼントや、「最近テレビの音が聞こえづらくなった」という悩みを持つ方には、RTINGSの「Dialogue 7.9 / Center 8.4」というスコアが示す通り、最強の解決策になります。
よくある質問 (FAQ)
まとめ:これは「シアター」ではない。「テレビの特効薬」だ。
Sony BRAVIA Theatre Bar 6 (HT-B600) は、ネーミングに「Theatre(劇場)」と入っていますが、プロの視点とRTINGSのデータからは、「劇場」を作ろうとした製品ではないことが明らかです。
- 映画の没入感 (Movies 7.0) を求めるなら、「買い」ではありません。
- 毎日のテレビ視聴の快適さ (Dialogue 7.9) を求めるなら、「大正解」です。
あなたの目的が「週末の映画体験」なのか、「毎日のストレス解消」なのか。
ここを履き違えなければ、この製品はあなたの生活を豊かにしてくれます。しかし、もし前者なら…悪いことは言いません。もう少しだけ予算を貯めて、Bar 8やSonos Beamの世界へ進んでください。それが「40代の賢い投資」です。
▼テレビの声が劇的に聞きやすくなる。ニュース・ドラマ派の最適解

